キミと、光さす方へ
転校生が来ても来なくても、あたしの日常は変わらない。


陰の方でひっそりと生きていく。


転校生が太陽のように明るければ明るいほど、きっとあたしは自分から陰に向かうだろう。


だって太陽のようになるよりも、陰になっている方がずっと楽だ。


目立たず、騒がず、そこにいても誰にも咎められることもない。


そんなことを考えていると担任の先生が教室に入ってきた。


自然と教室内の私語が止み、みんなの注目が先生へ向かう。


「もう知っているかもしれないけれど、今日から新しいクラメートが来ます」


先生は背筋を伸ばしてそう言った。


みんなの視線は廊下へと移動した。


閉じられているドアの向こうに人の影が映っているのだ。


「どうぞ、入ってきて」


先生の声を合図にしてドアが開く。


その音はなんとも遠慮勝ちで、ノロノロとやる気のなさを感じさせた。


そうしてゆっくりとドアを開けて入ってきたのは1人の男子生徒だった。


ヒョロリと背が高くて細身、スタイルは悪くないけれど、随分と猫背で自信がなさそうに見える。


うつむき加減で先生の隣に立ったその人は前髪が長く、目元が隠れてしまって顔の雰囲気がつかめない。
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