キミと、光さす方へ
☆☆☆

放課後になると、あたしと泉と勇人の3人はすぐに松本くんの席に集まった。


逃げそびれた松本くんは困ったように息を吐き出す。


「さぁ、行こう」


勇人は松本くんの右腕を掴んで強引に立たせている。


「琴江、大丈夫?」


心配してきたのは泉だ。


この時間に帰宅するということは、沢山の自転車に遭遇するということだ。


でも、もう覚悟は決めていた。


あたしだっていつまでも逃げているわけにはいかないから、少しずつでも慣れていかないといけない。


少なくとも、自転車を見ても大丈夫なようになりたいと思っていた。


「大丈夫だよ」


あたしは力強く頷いた。


泉はそんなあたしを見て驚いた顔を浮かべている。


しかし、次の瞬間にはもう笑顔になっていた。


「わかった。でも無理はしないでね。なにかあったら、すぐに言って?」


「うん。ありがとう泉」


あたしはそう言い、4人で教室を出たのだった。
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