キミと、光さす方へ
☆☆☆

~烈サイド~

幼少期の俺は劣悪な環境で育った。


家はあるし両親もいる。


しかしそこに安らぎはなく、夫婦関係も親子関係も最悪だった。


家に帰るたびに俺と母親に暴力をふるう父親。


「ちょっと、またお酒飲んできたんでしょう!」


働きもせずに毎日外で酒を飲んで帰ってくる父親に母親が怒鳴り声を上げる。


「うるせぇ! 金ならちゃんと出してやってるだろうが!」


ギャンブルで作ってきた金を母親に叩きつける父親。


俺は2人のやりとりを見ながら部屋の隅で小さくなっていた。


余計なことは言わないし、やらない。


いつどこで父親の暴力の矛先が自分に向かうかわからないからだ。


「今月の生活費は?」


「ない」


「ないって何よ! あたしや烈はどうすんのよ!」


「知らねぇよ、自分でどうにかしろ!」
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