キミと、光さす方へ
「今日の勇人はなんだか積極的だから気になるんだけど?」


押し黙ってしまったあたしに泉が身を乗り出してそう言った。


「積極的?」


「そうだよ。さっきは赤ペン。その前は消しゴム。さらにその前に休憩時間にはハサミ」


「だからそれは、勇人がペンケースを忘れたからでしょう?」


確かに、今日の勇人は休憩時間のたびにあたしに話しかけに来ていた。


それも小さな文房具を少しずつ「貸して」と言いに来るのだ。


「じゃあどうして授業が始まる前には返してくるの?」


泉に言われて「あっ」と呟いた。


確かに、授業で必要なはずのものなのに、勇人は必ず休憩時間内に帰しにきている。


さっきの赤ペンもそうだった。


「ねぇ、本当はなにかあったんじゃないの?」


泉は身を乗り出した状態でそう聞いてきた。


その瞬間昨日の出来事を思い出して心臓がドクンッと跳ねた。


始めて男子と一緒に帰ったこと。


しかもそこで気分が悪くなって倒れてしまったこと。


勇人はあたしをお姫様抱っこして家まで連れて帰ってくれたこと。
< 42 / 302 >

この作品をシェア

pagetop