キミと、光さす方へ
一瞬でよみがえってきた記憶にあたしはうつむいた。


でも、自分の顔が耳まで真っ赤になっていることが、自分でも理解できてしまった。


これじゃごまかすことは難しそうだ。


渋々、あたしは昨日の放課後勇人と2人で帰ったことを説明した。


説明している間に泉の目はキラキラと輝き始める。


「それでそれで? どうなったの?」


十字路で立ち止まったところまで話たところで泉が興奮気味に言う。


一瞬本当のことを言ってしまいそうになってグッと言葉を飲み込んだ。


これ以上は話すわけにはいかない。


泉に嘘をつくのは忍びなかったけれど、仕方ない。


「十字路で別れて、普通に帰ったよ」


「嘘でしょ? それだけ?」


泉はあたしの言ったことを信用せず、更に食い下がってくる。


あたしはゆっくりと左右に首を振った。


「本当だよ、勇人とはそこで別れてなにもなかった」


「告白も!?」


泉に聞かれてまた心臓が跳ねてしまった。


あたしは動揺を必死に隠して頷く。


「なかったよ」


泉はあたしの言葉を信用してくれたようで、「なぁんだぁ」と、脱力した声を出した。


グッタリと椅子に背をもたれさせて「勇人なら告白すると思ったんだけどなぁ」

と、ぶつぶつ呟いている。


勇人から告白されていないことは本当のことだ。


お姫様抱っこはされたけれど……。


思い出しそうになり、あたしは慌ててその出来事をかき消したのだった。
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