キミと、光さす方へ
ジワリと背中に汗が流れていき、どうすればいいかわからなくてベンチから立ち上がったり、坐ったりを世話しなく繰り返した。


《泉:本当にごめんね》


嘘だ。


冗談でしょう?


時間を確認すると集合まであと5分を切っている。


今から勇人に連絡して、取りやめにしてもらうか。


そう考えていると、今朝のお母さんの笑顔を思い出した。


あたしのことを気にしてくれて、お金まで渡してくれた。


それなのにやっぱりやめることになったと家に帰ったら、きっとガッカリさせてしまうだろう。


どうすればいいか考えがまとまらずその場でウロウロしていると「よぉ」と、勇人の声が後方に聞こえてきた。
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