俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
なずなの腰掛けているベッドの側には、若い男女が二人。
「レイシくん、部活帰りですか?」
「あ、はい」
「おー。弟よ、お疲れ。糸田先生元気してた?今日もハゲてた?」
「………」
そっくりそのまま、あの恐ろしい先生に伝えるからな。
俺はおまえの弟ではないぞ。
そこにいたのは、竜堂とその彼女。
彼女の名前は、残念な女…ではなく、神田桃李というらしい。神田さん。
竜堂は東京の大学に通っていて、春休みを利用して帰札していたらしい。
神田さんは、なんと…最近までフランスに留学していた。フランスで製パンの修行をしていたとか。向こうのヤングアワードで優勝してから帰国。名実共に立派なブーランジェールなのだ。
しかも、関東方面で大規模なベーカリーチェーンを展開していることで有名な『神田食品』の社長の孫だそうで、春から祖父の会社の企画開発部で働くらしい。
この、見た目まだ高校生のような、プラス残念な感じのこの人が…社会人!
しかも…そんなブーランジェールが、神の力を借りて戦う【神童】とは。
どうなってるんだ、この世界。