俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「無理しないでいいよ。私達は大丈夫だから」
「おまえなぁ…」
戦局はこれから。というその一言に、緊張感は隠せない。
これから、何か始まるのか…?
あのオガサワラリゾートのホテルでの件で終わりではないのか?なんて疑問が俺の中に浮上する。
でも、俺に関係ある話なのか、そうじゃないのか。
そこらの判断もつかないため、その事に関して俺はノーコメントでいるしかなくて。
「じゃあ、なずちゃんまたね。レイシくんも。お幸せに…」
「………」
何だ?その別れの挨拶。意味深すぎやしませんか。
竜堂も流石に『ただ東京に戻るだけなのに、恋に敗れて立ち去るみたいな言い方すんな』と突っ込んでいた。
この数日思っていたけど、竜堂、よくこの女を長い間相手してるな。二人は付き合い始めてからもう五年が経過しているそうだ。
「じゃあ、なず。頑張れよ」
「うん。わかってる」
「じゃあね」
…頑張れ。
深読みすれば、後戻りが出来なさそうで。
やはり、黙っているしか出来ない。
そうして、手を振って病室を去る二人を、なずなと二人で黙って見送るしかなかったのだった。