俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
目の前の長い黒髪女は、着ているベージュのトレンチコートを翻して笑う。
まさか、故意に伶士を連れてきたっていうのか?!
伶士が結界内にいるとなると、存分に戦えない。
これから予想される爆撃戦に巻き込まないように気を遣わねばならないからだ。
それをも見越して、この女…!わかっているのか?私が伶士を取り戻そうとしていることも!
取った行動が裏に裏をかかれている。
尚更只者ではない。それを察知してますます警戒を強めて体勢を整えて相手の出方を見ようとしたが。
彼女は笑い続けている。
獰猛かつ、妖艶ともいえる笑みを見せる女の手には、すでに魔力が掌中されていた。
ハラハラと解けるその形のものは…テグスのような、透明な糸?
ハッと気付かされる。
伶士の首の後ろから垂れ下がって光っていたものと同じモノだ。
蜘蛛の、糸…!
彼女の正体、伶士にかけられた意識操作の術の正体も、ここでまさかの予測が立つ。
しかし、思考を巡らせ謎解きをしていられる状況ではない。
彼女の手から放たれる【蜘蛛の糸】は、すでに私の間合いに入り込んでいた。