俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「ナウマクサンマンダポダナン…マカ・ナーラ・ソワカ!…【白蓮華】!」
霊力掌中して白い華を象った飛び道具を、今度は私がお見舞いする。
だが、妖艶で獰猛な笑みを向けられ、ハッとする。
…しまった、お見通しか!
彼女は華麗に体を捻らせる。
白蓮華の回避と同時に、体勢が既に整っていた。
テグスの刃の方向も、既に私の方へと向けられていて、一気に振り落としてくる。
カウンターのカウンターだ…!
「…くっ!」
後方に逃げるしかない。
体をこれでもかというぐらい仰け反らせて、刃を避ける。
飛び出すように後退して、一旦離れて距離を取った。
「ほう…反応は良いな?」
クツクツと笑って、本当に楽しんでやがる。格上の余裕だ。
反応は良い?…正直ギリギリだよ。防戦一方だし、こっちは笑えない。刃を擦めた左腕がドクドクと波打って痛む。
向こうは接近戦もお手の物、か。
付け入る隙が減ってきた…。
…全てが、ギリギリ。やはり、真言詠唱のタイムロスが惜しい。
ここは【絶対従者】の力を発動させて、一気に行くしか…!