俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

そして、その血肉を食した結果。

その絡新婦、女郎蜘蛛は魔族へと進化を遂げてしまったのである。

魔族に進化した後も、自前の術に加えて自身の編み出した術式で男を魅了し誑かしては、殺し食す。そして、強力な魔力を手に入れる。

それを積み重ねた結果、魔界でも五本指に入るほどの強さを持つ魔族となったのだ。



それが、【花魁女郎蜘蛛】。



得意とする技は、やはりその魅了の術。

【傀儡】と言われる、花魁女郎蜘蛛独特の強力な魅了の術式だ。

その強力な催眠作用は、手練れの術者でも回避が難しいと言われている。…【夢殿】とはいえ、力も覚醒していない、ただ霊力だけがバカデカい状態の伶士なんて、あっという間に籠絡だろう。

加えて、蜘蛛の糸による多彩な攻撃の術式。

さっき一戦交えて実感したが、魔力の強さもスピードも全てが格上だ。全く隙が無く、防戦一方を強いられた。

予め準備をしても、サシで勝てるような相手じゃない。

二年前に、半人半魔との『事変』を潜り抜けてきた私だが、正直…その連中とは比べ物にならないぐらいの格上だ。



これは…私一人じゃ、絶対無理。
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