俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

気配だけではなく、物音もする。

人の声もするみたいだけど…この位置からじゃ、よく聞こえない。

リビングから姿が見えないよう、上体を低く壁を背にした体勢をキープしたまま、周辺を確認してから少しずつ身を進める。

すると、近付くに連れて、ようやく物音や声がはっきりと聞こえてきた。

魔力の圧もどんどん強くなってきてる。これはさすがに呼吸しづらい。

緊迫の雰囲気が漂ってくるようで、胸も高鳴る。



…の、だが。

聞こえてくるのは、女の声だった。



「あっ…はぁっ…ふぅっ…」



艶かしい喘ぎ声に、ベッドがギシギシと軋む音…。



(………)



あぁ…何で、よりによって最中なんだ。

あんたら帰ってきたばっかりでしょう…。



話には聞いていたけど、実際様子を耳にすると、なんとも言えない残念な気持ちになる。

ガッカリのあまり溜め息が出そうだ。

だが、そこは堪えて戸口の側まで身を進める。

効率良く殴り込むためには、そこを覗いて、敵さんや家具の位置を少しでも中の状況を把握せねばならない。



(………)



…そこ、覗くの?

覗かねば、ならんの?!
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