俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
(復活…?)
そのまま、意識と共に耳を欹てるが。
花魁女郎蜘蛛はそのグラスに手を入れて、羽根を指で鷲掴んで、伶士の顔の前にチラつかせていた。
「さあ、受け取っておくれ…魔界に残してきた同胞らの為に…其方の腹心、黒曜も今かと心待ちにしておるぞ…」
そう言って、伶士の顎を掴んで引き寄せ、開いた口にその羽根を次々と突っ込んでいる。
受け取って…という割には、随分乱暴なやり方だ。
伶士の少し開いた口の中は、不気味な黒い羽根がわさわさと溢れている。
そんなに口に詰め込んだら窒息するだろが…!
しかし、花魁女郎蜘蛛は、苦しんでいる伶士の表情なんてお構いなしに、媚びた上目遣いで語りかける。
「まあ…白金は、消されてしまったがの?…あの、忌々しい神族、天帝の弟にな?」
…だが、私は全身の血の気が引く感覚を覚えていた。
花魁女郎蜘蛛の一言一句が重なる度に、ひどく緊張を覚え、無意識に息を止めてしまっていた。
まるで、本能が恐怖を感じ取っているかのように。
(な、何だって…)