俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「あああぁぁぁ…!」
被っていた人間の皮が溶けて、顕になったその姿は。
『皮』とは全くもって別の顔貌が現れた。
柔らかみがなく、ザラザラとした毛に覆われた皮膚。
辛うじて人型は保っているも、手やら足とか所々、蜘蛛の姿へと変化している。半分人で、半分獣。
これが、花魁女郎蜘蛛の本当の姿。
間違いなく、この黒炎はヤツの体をむしばんでいるという証拠だ。
しかし…まだだ。まだ油断するな?
このまま一気に、焼き尽くす!
そう意気込んで、また霊力を高めて更に更に放出する。
私の感情の起伏と集中と共に、黒炎は荒れ狂うように吹き荒れるが。
(…ちっ)
羽交い締めにしている、自身の手にピリッと熱い痛みが走る。
…何が起こったかは、自分でもわかる。
敵を燃やすその黒炎が、私の手にも移ってきた。
(…もう、来たのか。呪詛返し)
まさかのリスクは頭にあった。
神童の『神帯』を持たない私が禁呪を使うリスク。もろに被る、呪詛返し。
…自分も、この炎に巻きこまれる。
ヤツと、共に。
最悪、負け。いいとこ相討ち。