俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

確実に捨て身の攻撃だった。

霊力フル放出し続けているせいか、さっきから頭がクラッとしてきたり、変に喉が渇いたりしている。

この身の変化で思った。そして、今は私の体も共に少しずつ黒炎に蝕まれてきている。

どちらにしても…奇跡でも起きないと、私自身の明るい未来は望めないようだ。



けど、そこまでしないと、魔界屈指のこの魔族には勝てない。

今のところ、こっちの思惑通り。

絶対…絶対に逃すな?ここで確実に仕留める!



『死』は覚悟している。

陰陽師になる、そう決めた時から。

総本山からこの指令を受けた時も。

だから、迷いはない…。



…はず。



『絶対、死ぬな』



『死』を覚悟すると、引き留められるように頭に過ぎる言葉がある。



三年前の『事変』の際、これが仲間内での合言葉だった。

この最低相討ちを狙う状況でふと思い出すと、みんなの顔が浮かんで心苦しくなる。

でも、今は状況が違う。



私は、【夢殿】の護衛を命じられた陰陽師。



上からの命令とは、そんなもの。

ミッション失敗しては、堂々と太陽の下を歩くことは出来ない…!

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