俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
でも…それは許されなかった。
こんな使命、もう嫌だ。
ママに会いたい。
そう…言わせて貰えなかった。
私は、陰陽師。プライドにかけて、使命を全うする。
プライド、使命…。
(…なんだそれ)
だからって、16歳の女子高生が敵と共に火だるまになっているとか、あるかよ。
目の前でカレシが他の女といちゃついて、怒り狂いもせず冷静に戦局考えるとか、あるかよ。
何なんだよ、私のいる世界。
…私だって、もう嫌だとか疲れたとか言ってみてえよ。
こんなの、終わりにしてえよ!
普通の女子みたいに、朝から晩まで好きな人の事を考えては、キュンとしたり。
あの肉屋デートの時みたいに、幸せな夢をずっと見てみたい。
浮気されたら、怒って泣いてみたり。
普通の女子の『幸せ』というやつを、いろいろ味わってみたいという思いも、心の隅にはあった。
…なのに、齢16で名誉の戦死を遂げるとか、あるかよ!
忘れてしまおうと閉じ込めていた現実が、次々と頭の中を通り過ぎる。
そんなことを考えると、いつの間にか視界は涙でぼやけていた。
ふざけてる。