俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

(みんな、ごめん…)



約束、破ることになる。

私、死ぬかもしれない。

心の中で少し感じた感傷や、今の体の痛みを振り切るかのように、獣のように咆哮をあげると、黒炎の勢いは更に増す。

黒炎が目の前で踊るように荒れ狂う。炎の風圧で体は揺れ始めた。

灼熱の温度が、体内の水分を奪っていくよう。

…燃えろ。燃えろ、もっと燃えろ。

腕の中のモノを、焼き尽くせ。

粉々になるまで…!



「…嫌じゃぁ!…嫌じゃああぁぁっ!うわああぁぁ!」



こんなに燃やされてんのに、まだ吠えられるか?

顕になった半獣の姿も、火だるま状態となっていて、現在進行形で黒炎に燃やされ溶かされている。

身は朽ち果てようとも諦めないのは本当だったらしい。でも、嫌だを連発して泣きじゃくり始めている姿を見ると、あれだけ威張ってたくせに何とも情けないように思える。



「水晶鬼様のお体に触れられず、死ぬのは嫌じゃあぁぁ!もう、嫌じゃあぁぁっ!」

「…るっせぇな!」



何がもう嫌だ!だ。

自分本位に威張って、死に直面したらガキみてえに駄々っ子になりやがって。

イラっとくる。

私だって、ワガママに振る舞ってみたいよ。

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