俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
すると、すでに炭化した花魁女郎蜘蛛の手がゆっくりとミシミシ音を立てて上がる。
見えない差し伸べられた手を取るかのように。
そして、今にも消えそうなしゃがれた声を発していた。
「ずっと…ずっとお側にいとうございました…ぁぁぁ…」
その一言を最後に、腕の中の魔力がガクンと落ちた。
まるで、灯火が消えたような。…意識が飛んだか。
だが、まだ油断するな?
魔族の心臓代わりである『核』を完全殲滅しないと、甦る恐れがある。
…恐らく、水晶鬼も『核』が中途半端にしか壊されなかったから、ヤツらは一筋の希望を持ってしまった。
そこをリグ・ヴェーダに付け込まれたのだろう。
(まだまだ…!)
「…うあああぁぁぁっ!」
体内の霊力という霊力を全て絞り出して放出する。
もう、雄叫びをあげないと出てこない。
霊力の放出しすぎで、反動で体が上下にガクガクと激しく揺れる。
頭の中も一緒に揺れていて、視界が認識出来なくなっているようだ。もうグラグラだ。自分がいったいどうなってんだか、わかりやしない。
最後のシメ。これが…仕上げだ。