俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
私の置かれている立場に対する葛藤も、使命を持って敵を徹底的に焼き尽くす。
陰陽師という立場で、普通の女子の幸せを求めていたことに、少しの罪悪感を持ちながら。
(私は、陰陽師…)
だが、その時。
頭も酸欠状態で揺れてブレる視界の中、突然、フワッと体が軽くなった。
真っ暗な灼熱地獄の中のはずなのに。
急に、涼しい風が私の傍を突き抜けるように、スッと差し込んだのだ。
(は…)
目の前が、急に真っ白一色の世界になる。
まるで、黒い霧が晴れたように。
そして、真っ正面は霞がかっていて。
《なずな…》
…今、誰か、私の名前を呼んだ?
誰かはわからないけど、でも。
その霞の中に、誰かいるような気がして。
思わず手を伸ばした。
それは、私にとっては温かいもののような気がして。
触れたくなってしまった。
(…はっ!)
…しまった!
集中を途切らせてしまった、と思った時にはもう遅い。
流し込まれ続けていた霊力が突然切れた黒炎は、突如として嵐のように獰猛に吹き荒れ始める。
やばっ…暴発する!