俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

一気に現実に戻され、灼熱の痛みが体を襲う。

同時に、黒炎は激しく音を立てて爆発。

それによる爆風に巻き込まれて、体が宙に浮いた。



(…うわっ!)



爆風で体がガクンと仰け反り、息が出来ない。

それは、一瞬で。風の抵抗が無くなると、上半身が戻るように、グラッとゆっくり前傾になる。

鋭く激しい痛み、肌を刺すようなジンジンとした痛みを抱えて、息も絶え絶え、ようやく視線を少しだけ上げることが出来た。



しまった…何か、幻覚が見えてきて、油断してしまった。

何だったんだ、今の…。



だが、目の前には黒炎は全て消え失せているという光景が。

今の爆発で完全に散ってしまった…術が完成し切れてなかったのだ。



(花魁女郎蜘蛛は…)



腕の中には、丸焦げ炭化した物体はすでにもうない。今の暴発で、どこかへ行ってしまったのか?

その姿を、目で探す。

すると、カランと目の前に転がって落ちてきたのは…拳大の紅い宝石だった。

コロコロと私の視界の中を通過するが…急にピタッと止まり、カシャンと音を立ててその身を崩す。

サラサラと粉状となり、跡形もなく散っていった。

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