俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
《伶士…》
まるで俺を待っていてくれたかのように、いつもの制服姿で、こっちに笑顔を向けてくれていたのだ。
(なずな…!)
探していたその姿をようやく見つけると、急に感動が込み上げてきて、胸がいっぱいになってくる。
嬉しすぎて、思わず駆け出していた。
なずな、会いたかった。
よくわからないんだけど、俺達全然会ってないような気がして。
会いたくて会いたくて仕方がなかったんだ。
傍に駆け寄り、手を伸ばす。
だが…手は届かなかった。
(…わっ!)
なずなに触れようとすると、俺達を隔てるかのように邪魔するものが現れる。
ただならない熱さを感じて、反射で手を引っ込めてしまった。
これは、火…?しかも、黒い…。
だが、目の前は信じ難い光景となっていた。
その黒い炎が、なずなの体を攫うように包み込み、飲み込んでいく。
そして…みるみると燃やして蝕んでいった。
(…ああぁぁっ!)
取り返そうと必死で手を伸ばした。
でも、炎が邪魔をして、全然届かない。
何も出来ずに、なずながただ燃えていくのを黙って見ているに等しい状態だった。