俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
用意してもらった二階にある個室は、家族で来る時とは違った少人数用の部屋なんだけれども。
食事を出されるテーブルの他に、夜景を望めるバルコニーの傍には、食後に寛ぐためのソファースペースもある。
『そうか?20畳ぐらいしかないだろ』
『しかない?!…って、二人で肉食うだけなのにこんな広さ必要?これだから金持ちは…』
ぶつくさ言いながら、なずなは室内を歩き回る。
落ち着かないのか?いいから座れ。
早速クレームか?と、思われたが。
『うわあぁぁ…すご』
…そうでもないようだ。
なずなが立ち止まったそこは、バルコニーに繋がる大窓の前。
そこからは、中心部の夜景が望める。
街灯、ネオン、漏れる光が、まるで眩く輝く星のように散りばめられた夜空のような景色を。
『うわあぁぁ…いつもいるすすきのがあんなに小さく見える。フラワーのママ、今頃あそこで働いてるんだよなー』
『いつもいる、って勘違いされるぞ?』
『ばかもん。遊んでるんじゃねえんだぞ?仕事だっつーの』
『夜の仕事か?』
『夜の仕事っちゃ仕事だけど…って、おい。お水じゃねえし!』
『見た目は間違いないんだけどな』
『…コラァァッ!』