俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

俺が唐突な質問をしてくるもんだから、玲於奈は恐らく驚いているんだろう。その場に立ち尽くしたまま、何も言葉を発さない。

目が隠れてるし、表情乏しいからわからないけど。



「…伶士クン」

「は、はいっ」

「…まず、お部屋を出まショウ」



すると、そっと背中を押されて、部屋の外へゆっくりと誘導される。

背中を触れられて、振動を感じて初めてわかった。

俺、体が震えてる…。



「…知らない方が良いこともありマスよ」



玲於奈は部屋のドアをそっと閉める。

俺たちは、廊下で立ち話をするカタチとなっていた。



「知らない方がいいって…」

「…花魁女郎蜘蛛の【傀儡】は強力過ぎる故に、その間の記憶がないのですネ」

「お、おいらん…?」

「キミを攫った魔族の名前デス。妖怪から魔族に成り上がった、魔界屈指の強さを持つ魔族デス。…キミが以前お会いした雷帝と同じぐらい名前が知れてる女魔族デス」

「ら、雷帝だって?!」



雷帝とは…あの、沙羅先輩を連れて行った、ラリってキマったようなヤバい目をしていた魔族だよな?

あれと同じぐらいだなんて…!
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