俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~

…あの時の衝撃は、今でも忘れることは出来ない。

姿を見せ、そこにいるだけで体に重くのしかかる圧力と、肌がチリチリさせられるほどの張り詰めた空気。

素人目でも、あれは尋常ではないとわかった。

それと同等の魔族に挑んだのか?!

死を覚悟してって、そういうこと…!



実感したことのある具体的な例を上げられると、イメージが簡単に出来てしまって、改めてリアルに恐怖を感じる。

雷帝並みの相手に立ち向かう、それは死にに行くようなものでは。

雷帝の前では手も足も出ずに、一方的に攻撃を受けてボロボロになっていたなずなの姿を思い出すと、ゾクッと背筋が凍る。



「…まあ、雷帝ほど戦闘力は高くないですが、彼女はだいぶ狡猾で頭の回る魔族でしてネ。ボスから待機命令出ていたにも関わらず、よく一人で乗り込んで行ったと思いましたヨ。早急に行動に移さねばならない何かがあったんだと思いマスが」

「そ、そんな…!」

「僕が昼に函館を出て、車をかっ飛ばしてきましたが…間に合いませんでシタ。僕が駆け付けた時にはもう勝負はついていて…花魁女郎蜘蛛の姿はなく、粉々になって壊れた魔族の【核】だけが転がっていて、傍には真っ黒焦げになったなずなサンが倒れてまシタ」
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