俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
…本当だよな。
俺、また何も出来ていない。
こんなことになったのも、俺が稀少な力を持っているがばかりに。
自分自身を護る術、抗う力を持たないがばかりに、簡単に攫われてしまったせいで。
『護られる』がばかりに、何の力も持っていないせいで…!
「俺は…また何も…」
「どうかしまシタか」
声を掛けられて、ハッと我に返る。
悔やんでも悔やみきれずに、つい漏らした言葉を玲於奈に聞かれていたようだ。
よりにもよって、コイツに聞かれてしまったことに恥ずかしくなって、顔を背ける。
「ひょっとして、無力を嘆いているのデスか」
「き、気にしないで下さいっ…」
は、恥ずかしい!泣き言をよりにもよって、このもさ男に聞かれるとわ!一生の恥、不覚!
しかも、無力ってはっきりと言ったな?!…実際そう思ったけど、おまえに言われたくないよ!このもさもさが!
…だが、もさもさは置いといて。この自ら招いた失態をどう回収しようか、ますます頭を抱える。
玲於奈はそこにキョトーンと突っ立っているだけだが…この後、思いもかけない事をヤツは口にするのだった。