俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~


画面上では、大勢のペンギン様がよちよちと歩いている。

その中では、番で巣を作っている様子も映し出されていた。



「これはな、巣を作る石を取り合ってたまに修羅場になるんだ」

「はいはい」



俺の丁寧な解説に、ヤツはテキトーな生返事を返している。

「ちゃんと聞け」と頬をなずなの頭に乗せると「重い…」と、呟かれてしまった。

その時、フッと甘い匂いが鼻を掠める。シャンプー?フードの上からでもいい匂いだな。

腕を回している腰、細いな。腰回りも萎びてるんだろうか。



それに、くっついてるとすごい暖かい。



(なんか、幸せ…)



ただ、なずなといるこの時間が、幸せ。

…本当に失わなくて良かった。

なずなが死なないでいてくれて良かっただなんて、しみじみと思う。



そんな事を思うと、腰に回している腕にキュッと力が入る。



この小さな幸せを護るために。

俺には、何が出来るのか。



『ーーーペンギンたちは今日も前を向いて歩いていきます。その先には何が待ち受けているのでしょうか?…明日のために、ただ、強く前に進みます』
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