俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~


『君は、その力が欲しいと願ってはいけない』



かつての世界対戦を采配し、勝利を選択することが出来ていた予知夢の力。

もし、この予知の力を手に入れることが出来るのならば、先の戦争同様、この国を…この世界を掌握し、思うがままに出来るのだ。

その絶対的な力を手に入れようと【夢殿】は妖怪魔族だけではなく、人間にでさえ狙われていた。

力を巡って、過去には人間同士が争い、内乱だけではなく他国から攻め入られることもあったようだ。



この唯一無二の力は、この世界の平和の均衡を崩す。

だから、この【夢殿】の力を覚醒させてはならない。

人々の争いの火種となるのであれば、最初から無い方が良い。

今のご時世、そんな予知の力など目覚めさせない方が良い…というのが、今の菩提さんら、陰陽師総本山の考えなんだろう。

橘美頼の戦争のイメージが強いからか。



…だけど、俺はふと思った。



こう悪用されるというのなら、逆に善用されることもあったはずだ。



それは、昨日見た『記憶』の中でもわかった。そこでの情報が、俺の考察の確信となる。

【夢殿】の周りに起きた出来事は、世界を混沌とさせる支配などの、辛いことばかりではなかったのだ。

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