俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
『正義』と称した、単なる言い掛かり。
それを主張したいがために、立ち塞がったおじさんをあんな目に合わせたと思うと、一抹の怒りを覚える。
《毎日同じ事の繰り返し上等。それが一番の平和。…なのにさ。何でこの尊さをわかってくれない人もいるんだろうか》
《世界は、こんなに綺麗なのに》
…少なくともおじさんは、この人たちを救おうとしたんじゃないのか?
手を差し伸べて…この人たちのモノクロの世界に色を付けようとしたんじゃないか?
様々な憶測を立てるが、やはりこの人たちは許されない。
結局は、無理矢理奪って、人間をゴミクズ扱いしてるのも、彼らなのだから。
膝の上の拳が、震えてくる。
「『正義とは、何か』…と、仰いましたよね?」
声が震えて、ようやく絞り出た。
光が灯ってない彼の目と視線が合う。
「うん、シメ?整ったの?」
「シメとかいうわけではないですが、それは…大切なものを護る、その為にあるものです」
「は?護る?」
「人によって護りたいものは違います。なので、『正義』のカタチも様々です。誰が良いとか悪いとか、何もないと思います」