俺のボディガードは陰陽師。~第五幕・白昼夢~
「そうだよ?…この人間という世界に、人間では抗えない力を持った魔族を呼び、人間を喰らわせる。…罪の意識もなく傷付き、命を奪われる苦しみをひとつ味わってから死ぬんだ。…全員喰らわせて、何も残らなくなるから、負の連鎖なんてないだろう?」
この彼の…『マントラ』の最終目的は、この世界の滅亡。
しかも、魔族の手による徹底的完全殲滅によって。
《きっと、彼らには『絶望』で、この世界が白と黒の世界にしか見えないんだと思う。斜め上から見てるんだ》
わかってはいたけど…改めて聞かされると、それはとても恐ろしいことだ。
この世界に、人間に勝手な恨みを持って、ただ壊してやりたいだけじゃないか。
そう考えると、動機があまりにも稚拙…そんなもんか。動機って。
さっきの演説だって、ひどく苦しい思いをしたのかもしれないけど、結局は自分のやってることを正当化する為の言い訳だ。
《『正義』って、何?》
…自分たちこそが、正義。
ただそれを遠回しに主張したかったたけなのだ。