SOAD OF WOULD



母さま!!!!!!!






母さまを殺さないでぇええええええ!!!!!




俺の心はその時、既に壊れかけていた。





今すぐに母さまの元へ行きたかったが怖くて体が

重い鉛になったかのように動かなかった。

『ッチ。これくらいにしといたるわ。はぁ。さめた。はよ、治療せな。』

そして、侍は出て行った。

『さ…さつき。出てきて…良いですよ…。』

母さまに呼ばれ、スッと体が動くようになり急いで母さまの元に

駆け寄った。

『母さま!!!!』

一生懸命、俺はまだ小さい手で傷口を押えるが

血は止まることをしらず、少しづつ流れていた。

『止まれ――――』

『さ…つき…。もう…良いのです…。

いつか…こうなる…と…は…分かっ…ていま…した…。

…あなたは…必ず…生き延びるの…です。この世界を…。

私が…死んでも…悲しま…ないで…。

さつきは…立派な子…やから大丈夫…。

この時代は…これからも辛い…ことがある…と思います…。

だけど、諦め…ないで。

いつか…平和な世界が…来るはずだから…。

あ…そうそう…梅の花言葉はね…艶やかさと、

厳しい…美しさって…言うんよ…。』


『母さま!!もう、しゃべらんとって―――――ぇぇぇぇ!!!』


『良い…ですか、さつ…き。…聞いて…ください。

梅の花の…ように…華やかで…美しい女性に…なりな…さい。

絶対…に、私の分も…生きて幸せに…なりな…さい。

私は空で…いつでも見守ってい…ます。

最後にこれを…。行く宛が…なければここを…尋ねなさい。』

そして、母さまは俺の手に小さな紙切れを渡す。

『いやや!!母さま!』

『大丈夫ですよ。』

母さまは、血がベットリと

ついた顔でニッコリと笑う。

『そんな、』

言葉を発しようとしとき、

ガシャ!

と音がなる。

『父さま!』

『さつき!か、母さん!』

『あ…あなた…。』

『もう、喋らんでええ。俺が敵をとってくる。』

『ダメ…。行ったら…あなたまで…。』

『大丈夫。俺もあれから鍛えたから。

すぐ帰ってくるから、二人とも待っとき。

母さん、生きとるんやで。愛してるからな!二人とも!』

『父さま!行かんとってぇ!!!!』

一生懸命に訴えた。

この手を離したらいなくなる。

そんな予感をかすめていた。

だが、引き留める事が出来なかった。

『大丈夫や、さつき。すぐ戻ってくる。安心して待っとき。』

そう言うと、父さまは…

ニッコリと母さまのように笑って

あの侍を追いかけていった。

『さ、さつき…ごめんなぁ。あんな人で。』

『父さま、強いから帰ってくる…!』

『そうや…なぁ…。』

母さまは、血がベットリとついた

手で私の頬を触りながら

最後となる言葉を

言う。

『私は…さつきを…世界で…一番…愛し…て…る…。』


その言葉を告げると

同時に俺の頬にあった手は…

スルリと下がり、




トサッ。




と小さな音をたてて…


母さまが、この世を去った


という現実を


つきつける音をならしたのだった。























『母さま―――――――――――――ぁあああああああああああ!!!!!!』





























< 17 / 33 >

この作品をシェア

pagetop