アンコールだとかクソ喰らえ!
そんなわけ、ないでしょ。
心の中でならいくらでも吐き出せるのに、相手にそれを伝えるための音にはならない。そもそも、だ。別に、私の気持ちを馬鹿正直に話す必要だってない。
例えば、ここで、こくりと頷いてみたら。
一瞬、そう思ったけれど、嘘でもよりを戻したいだなんて言いたくない。だからこのまま、黙ったままでいれば勝手に勘違いしてくれないだろうか。なんて、浅はかな思考が生まれた。
「……心咲、ごめん」
「……」
「俺、絶対、邪魔しちまう」
しかしやはりというか、何というか。
諦められねぇ、と。ひどく小さな声で呟かれて、僅かにだが、手を握る力が増した。
「別によりなんて戻す気ない」
ため息をひとつ、言葉を寄り添わせて吐き出す。
「一度、ダメになったものは、もう、何してもダメだと思ってるから、私」
そしてまた、ひとつ。
直球ではないにせよ、伝わらないほど遠回しでもない言葉を寄り添わせて、ゆっくりと吐き出した。