やさしいベッドで半分死にたい【完】
「ずっと続けてください。応援してます」
まっすぐな言葉に、たしかに狼狽えてしまった自分がいた。
真意もわからないような世辞文句を何度も聞かされて、そのたびに疑心暗鬼になった。周りはいつも強いものばかりで、平気でうそをついたり、足を引っ張ったりするもので溢れかえっていた。
やさしい記憶なんて、そう多いものではない。
きっと、今の私でなければ、こころが震えてしまうくらいに嬉しい言葉だっただろう。ありがとうと言って、抱きしめてあげられたかもしれない。
今もそうしてしまいたい。そう、思うのに、どうしてか動くことができなかった。
この人の愛にかなうような人間ではない。突き刺さった事実で、呼吸が凍り付いてしまった。
「藤堂さん……?」
本当は、逃げ出したいんです。私、もう音楽なんてやめようと思うんです。どこか遠くへ行って、違うことでもやってみたいと思います。だから、もう藤堂周は、ピアノなんて、弾かないですよ。
「ありがとうございます」
そんなこと、一言だって、言えるはずがなかった。
私の声を聞いて、女性の赤らんだ頬にもう一度涙がこぼれてしまった。まぶしいような気持ちで、もう一度「大丈夫ですか」と告げれば、必死に頭を振って肯定される。