キミと同じ世界
反射神経の悪い私は、隠れることもする前に、見事彼女に見つかる。
「、、相川さん?」
名前を呼ばれてしまい、私はおずおずと教室の中に入る。
「ご、ごめん、、」
何故か反射的に、そう言葉が出た。
「謝ることじゃないよ。始業式は?
佐山さんたち、もう行っちゃったよ」
左頬にエクボを現し、柔らかく微笑む彼女。
佐山さんというのは、エリのことだ。
もちろん、エリたちが体育館に先に向かったことは知っている。
私はトウヤを避けるべく、教室を飛び出したのだから。
「ちょっとトイレ行ってて、、
それより、宮内さんも体育館に行かなくていいの?」
あはは、、と苦笑いをする。
そして、社交辞令的に、私も慌てて彼女に聞き返す。
すると、彼女の柔らかい表情が一瞬、曇った気がした。
しかしすぐに、彼女はいつもの笑顔を浮かべ、淡々と答えた。
「探し物してたの。、、でも、そもそも家に忘れてきたみたい」
彼女の回答に、先ほどまでの行動の意味を理解した。
「そっか、」
「うん。だから、気にしないで?
早く体育館行ったほうがいいよ」
彼女の普段通りの明るい声に、安心する。
「うん、そうする」
本人が言うんだから、他人が心配するほどでもない。
深く入り込んではいけない。
宮内さんもそう願っているかもしれない。
これが普通の、クラスメートの関係。
私はそれ以上聞かず、再び教室を出て、体育館へと歩み始めた。