キミと同じ世界
予想外の答えが私の思考をストップさせた。
いやいや、私が行かなくても、
新しい友達ができる絶好の機会だ。
彼の考えがわからない。
「行かないけどさ、、今のトウヤに関係ないじゃない」
そう言って、頭で考えるよりも先に、口をついて出た言葉。
「 “ 今の ” ってなんだよ。昔も今も変わんねぇだろ?」
ついさっきの声質とは違い、少し低く、
その言葉はずしっと私の心に伸し掛かる。
ぽろりと出た単語に、トウヤがそんなに反応するとは思わなかった。
しかし、私自身がこの数年間自分に言い聞かせていたものだ。
この世界で幸せに生きていて、
誰からも愛されている人たちはきっと、
私とは違う世界に生きているのだろうと。
私の世界はあの瞬間から、変わってしまった。
私の世界で生きていた人たちは居なくなったのだ。
彼の言葉に呆然として、ホッチキスを留める手も止まる。
しかしすぐに、手を動かすよう脳へ発信する。
そして平常心を保ちながら言葉のキャッチボールを再開した。
「つい出ちゃっただけ。気にしないで」
これ以上トウヤと喋ってしまうと、
私の中の私が出てきてしまいそうだ。