不安になったら手を繋ごう。怖くなったらハグをしよう。
「な、凪兎くん!みんな見てるから……」

恥ずかしそうにそう言うのは、僕の彼女の藤菜月(ふじなつき)。一年生の秋頃から付き合っている。

「ヒュ〜ヒュ〜!」

「朝から熱いね〜!」

男子からからかわれるが、菜月を抱き締めないと一日が始まらないような気がして、教室だろうが廊下だろうが抱き着いてしまう。

いつもは一緒に菜月と投稿するんだけど、今日は菜月が委員会の都合で早く行かなければならなかったため、僕は一人で登校したんだ。隣が寂しかったけど、やっと満たされる。

「菜月、好き」

僕がそう言うと、菜月は顔を真っ赤にして俯く。もっとその顔を見ていたいけど、そろそろチャイムがなる時間だ。僕は席に着くため離れようとする。

「ま、待って」

弱い力でギュッと手を掴まれ、僕の胸が高鳴る。こんなことを菜月がしてくれるなんて、初めてだ。

「私も好きだよ」

固まっていた僕の耳元で、菜月は恥ずかしそうに言ってくれる。それがたまらなく愛おしくて、キスをしたくなるのをグッと堪えた。
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