私しか、知らないで…

彼女を2階のオレの部屋に入れた



「わぁ…綺麗だね」



まだ魚がいる方の水槽を覗いてる
彼女の目はキラキラしてた



「あ、集まってきた…

あ、行っちゃった…

ねぇ、こっちの水槽には
どんな魚がいたの?
こっちと違う種類?」



オレは熱帯魚の種類の話をした


気付いたら
またずっと喋ってて

彼女はまた
ずっとオレの話を聞いてくれてた



「ごめん…
つまらないよね」



「んーん…
好きなことを話してる
亜南を見てるのが好き

すごく大切だったんだね

受験が終わったら
熱帯魚また増やそうよ
私も一緒に選びたいな…」



そう言って
水槽を見てる彼女の横顔に
見惚れた



亜南…



紫苑…



紫苑の唇が水槽に触れた



綺麗だった



目が離せなかった



「亜南?」



紫苑がオレを見た



ドクン…



水槽から離れた紫苑の唇に
触れたくなった



ーーー



唇が離れて我に返った



「ごめん…」



「ん?
なんで、謝るの?」



なんで?

なんでかな?



「嫌われたくないから…」



「私がキスした時
亜南、私のこと、嫌いになった?」



「嫌いに、なってない」



好きになった


紫苑を好きになった



「なんで今、私にキスしたの?」



綺麗だったから



「…」



言えない



「私はね
亜南のこと、好きだから…
キスしたくなった」



ドキン…



紫苑がゆっくり目を閉じた



「もぉ1回してよ」



「うん…」



ーーー



どんな強さでしたらいいのか

どんなタイミングで離れていいのか

わからなかった



「亜南、肩、痛い…」



「あ、ごめん…」



どこに力を入れていいのかわからなくて
紫苑の肩を思いっきり掴んでた



「フフフ…
よくできました!」



ーーー



3回目は紫苑からキスしてくれた



さっきまで怒ってた気持ちがなくなってた



あんなに大切にしてた熱帯魚なのに

気付いたら
紫苑のことで頭がいっぱいになってた



おかしい

オレ



< 129 / 250 >

この作品をシェア

pagetop