Xmas eve in2020
売り込みタイムの最中だけど、これから会社帰りのお客さんも増えて来るから、その前に休憩を済ませろというマネ-ジャ-の指示で、私はこの建物の最上階7階にある社員食堂に向かった。


定食を受け取り、どこに座ろうかと見渡していると、美幸が手を振っているのが見えた。私も笑顔を返すと、彼女の前に座る。


「お疲れ、順調?」


「うん。」


なんて会話を交わす私達の間を、透明のアクリル板が仕切っている。私は付けていたマスクは外すと


「いただきます。」


と手を合わせる。ちなみに、私達食品製造に携わる者にとっては、マスクは感染症拡大以前からの必需品だ。


「この時間に昼休憩ってことは、美幸も今日は遅番?」


「うん。今日はバイトの子達も、なかなかシフト入ってくれないからね。私達だって、学生時代はそうだったし。だったら、社員が出るしかないじゃん。それにどうせ、クリぼっちだし、仕事あった方が、余計なこと考えなくていいよ。」


「確かに。」


そんな会話を交わして、私達はお互いに苦笑い。


「でも、みんな一緒にクリスマス過ごす相手がいるんだね、うらやましい。」


私がポツンとそんなことを言うと


「さぁ、それはどうだかね。一緒に過ごすのは恋人とは限らないよ。友達や家族かもしれないし、例え相手がいなくたって、わざわざシフト入るのは、ちょっと悔しいじゃない。」


と美幸。


「そうかな?ボッチで寂しい思いしてるくらいなら、バイト入った方がよっぽどいいような気がするけど。」


「う~ん、それはそれぞれの考え方だよね。」


就職活動の時、OG訪問で訪ねた先輩に


「流通業は、友達なくすよ。」


と言われた。私達の仕事は、どうしても土日祝日が忙しい業界で、なかなか休みにくい。当然、友人や恋人と時間が合いにくくなり、だんだん疎遠になって行くという意味だったが、実際に勤め始めて、それを実感させられた。


就職して、最初の頃は、平日に休みを取ってくれた友達も、試用期間が終わり、本格的に仕事が忙しくなると、そんなことも言ってられず、マネ-ジャ-の配慮で、私も不定期に土曜日休みをもらってはいるが、そううまくタイミングが合う時ばかりではない。


かくして、学生時代の友人達とは、LINEやメ-ルのやり取りが関の山。大学時代から付き合っていた彼氏とも疎遠になって、自然消滅。私も美幸も、ほぼ同じような経過をたどって、今日に到っている。
< 4 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop