Xmas eve in2020
7時を過ぎ、指示された値下げを終えた隼人さんが


「これ以上は、残業オーバーになっちまうから、上がるな。」


と声を掛けて来る。


「隼人さん、あと何かありますか?」


「大抵、大丈夫だと思うが、なんかあったらフォロー頼む。」


「はい、お疲れ様でした。」


「お先に。」


私にそう言いながら、サッと手を上げた隼人さんは、笑顔を残して、去って行く。


爽やかなイケメンで、初めてお目に掛かった時には、結構ときめいたんだけど、残念ながら隼人さんには、上の階の婦人服売場に勤める綺麗な彼女さんがいて、現在同棲中。


「食品と衣料じゃシフトも違うし、休みもなかなか合わない。一緒に住んでいても、あんまり顔も合わせらんねぇんだよ。」


と以前、嘆いてるのを聞いて、社内恋愛も大変だなぁと思ってしまったが、今日は時間が合わせられたと、この前、喜んでいた。


今日は彼女さんと仲良く一緒に退勤して、甘いクリスマスナイトだそう。ご馳走様です。


お客様のピークは過ぎたみたいだけど、通常の木曜よりはまだ多い。ただ、クリスマス用の買い物のお客様より、通常のお夕飯を求めてのお客様が、だいぶ目立つようになってきた。


追加した唐揚げは、順調にはけている。パ-ティ用の大皿オ-ドブルは完売した。お寿司もマークダウンした助六はもちろん、生寿司のコーナ-にもお客さんが付いている。


「いらっしゃいませ。ただいま、お寿司コーナ-は助六寿司がお買い得です。また江戸前寿司も、握りたてをご用意しております。クリスマスには欠かせないロ-ストチキンも大変美味しく焼きあがっております。どうぞ、ご利用くださいませ。」


ソ-シャルディスタンスには十分配慮しながら、私は売り込みの声を上げる。その後、中華惣菜や焼き鳥の売場も確認しながら、私はお渡しカウンタ-へ移動する。


カウンタ-の方もお客様の姿も、商品お渡しのサンタの姿もだいぶ少なくなっていた。


「美幸、お疲れさん。」


「お疲れ。一般のお客様のお渡しは、ほぼ終わったよ。残っているのは従業員の予約商品がほとんどだよ。」


「そうか、よかった。トラブルなしで終われそうだね。」


あってはならないことだけど、予約の入力漏れや商品の手配ミスは、全くないわけではない。私は美幸と胸をなでおろす。
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