Xmas eve in2020
時計の針は8時をまわり、閉店時間まで2時間を切った。
「ローストチキンは最終処分だな。他はどうだ?」
「中華惣菜は餃子が少し余りそうです。さっき2割引きにしました。」
「わかった。明日香、ロ-ストチキンは思ったよりはけが悪かったな。明日は金曜だから、予測よりクリスマス当日に需要が流れるのかもしれないな。」
「そうかもしれませんね。発注量、午後便は増やしておきます。」
「頼む。じゃ、悪いが先に上がらせてもらうぞ。」
マネージャーはもうかれこれ13時間以上、会社にいる。部門責任者の責務とは言え、大変だ。
「お疲れさまでした。でもこの時間に帰ったんじゃ、お子さんはもう寝てらっしゃいますよね。」
「仕方ねぇな、こればかりは。人様が楽しんでる時が、俺達の書き入れ時だからな。それにウチのチビにとっては、ごちそう食べることより、クリスマスプレゼントの方が重大事だから。ということで、サンタさんはこれから急いで、帰ります。ほいじゃ、あとはよろしく。」
そう言って、ニカッと笑うとマネ-ジャ-は帰って行く。
これで私は一応マネージャー代行、売場の責任者だ。バイトくん達に指示を出しながら、商品の売り切り、後片付け、そして明日の準備に入る。
さっきマネージャーと話したように、イヴの盛り上がりの影に、どうしても隠れてしまいがちなんだけど、明日がクリスマス本番。金曜日ということで、まだクリスマス需要は十分見込める。現にケ-キの予約も今日には及ばないけど、それなりに入っている。
「明日香さん、生寿司もチキンも、もう3割(引)でいいですよね?」
慌ただしく動き回っている私に、そう声を掛けて来たのは、アルバイトの香川大樹くん。現在、大学2年生の彼は、しかし高校時代からここでバイトをしていて、実は私より売場経験が長い。
「そうだね。思い切ってやっちゃおう。そうじゃないと、最終的に5(割引)まで行かなきゃならなくなっちゃうから。」
「わかりました。」
値下げによるロスは極力抑えたいけど、タイミングを見誤ると、全部最終的に廃棄になって、かえって大ダメ-ジを被る羽目になる。ここの見極めが、遅番者の腕の見せ所でもある。
「でも、今日はイヴなのに、来てくれてありがとう。」
作業中の香川くんに、そう声を掛けると
「元々、木曜日は出勤日だから。それに昨日、今日入ったわけじゃないから、今日がどんな日かわかってるし。」
と力強く答えたあと
「それにプライベ-トでもお一人様の明日香さんに、売場でまで寂しい思いさせちゃ、可哀想じゃん。」
と続けられて
「な・・・。」
年下にからかわれて、思わず言葉を失ってしまった私を見て、香川くんはニヤッと笑った。
「ローストチキンは最終処分だな。他はどうだ?」
「中華惣菜は餃子が少し余りそうです。さっき2割引きにしました。」
「わかった。明日香、ロ-ストチキンは思ったよりはけが悪かったな。明日は金曜だから、予測よりクリスマス当日に需要が流れるのかもしれないな。」
「そうかもしれませんね。発注量、午後便は増やしておきます。」
「頼む。じゃ、悪いが先に上がらせてもらうぞ。」
マネージャーはもうかれこれ13時間以上、会社にいる。部門責任者の責務とは言え、大変だ。
「お疲れさまでした。でもこの時間に帰ったんじゃ、お子さんはもう寝てらっしゃいますよね。」
「仕方ねぇな、こればかりは。人様が楽しんでる時が、俺達の書き入れ時だからな。それにウチのチビにとっては、ごちそう食べることより、クリスマスプレゼントの方が重大事だから。ということで、サンタさんはこれから急いで、帰ります。ほいじゃ、あとはよろしく。」
そう言って、ニカッと笑うとマネ-ジャ-は帰って行く。
これで私は一応マネージャー代行、売場の責任者だ。バイトくん達に指示を出しながら、商品の売り切り、後片付け、そして明日の準備に入る。
さっきマネージャーと話したように、イヴの盛り上がりの影に、どうしても隠れてしまいがちなんだけど、明日がクリスマス本番。金曜日ということで、まだクリスマス需要は十分見込める。現にケ-キの予約も今日には及ばないけど、それなりに入っている。
「明日香さん、生寿司もチキンも、もう3割(引)でいいですよね?」
慌ただしく動き回っている私に、そう声を掛けて来たのは、アルバイトの香川大樹くん。現在、大学2年生の彼は、しかし高校時代からここでバイトをしていて、実は私より売場経験が長い。
「そうだね。思い切ってやっちゃおう。そうじゃないと、最終的に5(割引)まで行かなきゃならなくなっちゃうから。」
「わかりました。」
値下げによるロスは極力抑えたいけど、タイミングを見誤ると、全部最終的に廃棄になって、かえって大ダメ-ジを被る羽目になる。ここの見極めが、遅番者の腕の見せ所でもある。
「でも、今日はイヴなのに、来てくれてありがとう。」
作業中の香川くんに、そう声を掛けると
「元々、木曜日は出勤日だから。それに昨日、今日入ったわけじゃないから、今日がどんな日かわかってるし。」
と力強く答えたあと
「それにプライベ-トでもお一人様の明日香さんに、売場でまで寂しい思いさせちゃ、可哀想じゃん。」
と続けられて
「な・・・。」
年下にからかわれて、思わず言葉を失ってしまった私を見て、香川くんはニヤッと笑った。