SP警護と強気な華【完】
ひんやりとして気持ちがいいのか
熱を帯びて苦しそうだったカトレアは
少しずつ落ち着きを取り戻していく――
「柊…さん」
うつらうつらと意識がぼんやりしていき
睡魔に襲われながら彼女は小さく彼を呼んだ。
「ん?どうした?」
消え入りそうな、ほんの些細な声だった為
顔を近付けて聞き返すと…
「お願いだから…
あなたは死なないで…」
「え…」
「私を
独りにしないで―――」
一雫の涙を流し
小さく言葉を紡いで眠ってしまった。
「…わかってる」
ネックレスを眠るカトレアの手に戻し
その上から自分の手を重ねると
彼女の目から流れた涙を拭いながら柊も答える。
「必ず約束する。
俺はお前の傍にいる」
と――――
その後カトレアは
悪夢のような記憶を思い出す事なくグッスリと眠れ、朝に目が覚めた時には
すっかり熱も下がっていた。
(私…
眠る前に柊さんに何か言ったような…)
夢か現実か
なんとも言えない記憶は
気のせいだと思った。
もちろん
彼の言葉も耳には入っていないーーー