SP警護と強気な華【完】
「だけど
それがいけなかったんだ…」
柊の表情に暗い影を落とす。
「血迷ったストーカーは
俺の目の前でアイツを…手に掛けた」
「手に掛けたって…まさか…」
最後まで言わずとも首を縦に振る柊に
それが何を意味しているかは
カトレアもすぐに理解。
「でもそれは柊さんのせいじゃ…」
「護れなかった俺の責任だ。
その一件で警護する仕事から離れたんだけど
爺さんには恩もあって今回引き受けたんだ」
「そんな…」
一通りの真実を聞いたカトレアだが
その心境はとても複雑なもの。
“過去の記憶を掘り返す事に
躊躇する人間もいる”
以前、彼が言っていた言葉を思い出した。
(あれは婚約者の事だったのかもしれない。
過去を話そうとしなかったのは
責任を感じて引きずっているから。
もしかしたらまだその人の事を…)
近くにいたせいで
今まで1度も感じなかった疑問。
『じゃぁこの人は
今までどんな想いで私の傍にいたんだろう…』
知りたいけど
怖くて聞けない気持ちが交差する。