SP警護と強気な華【完】
今まで過去を話してくれなかった柊に
初めは戸惑いと不信感を持った。
けれど
命を狙われ死と隣り合わせで過ごしていく中で
常に傍にいた柊の存在が大きくなっていたのは、カトレア自身もわかっていた。
“大切”であるのは間違いないが
それが恋愛感情とも家族愛とも今までは考えた事がなく、婚約者がいたという過去と
今もその相手を愛しているかもしれないとの思いはカトレアの心を動かし、自身の気持ちと向き合わせた。
「お爺様のために
苦しい思いをしながら私と遺産を守ってくれていたんですね」
「苦しい…か。どうだろうな。
最初は確かに戸惑いもあったけど
時間も経過してるから気持ちの整理はついているし
お嬢さんが無茶ばっかするから
そんな事を考える暇もなかったしな」
カトレアのために無理しているのか
はぐらかすように笑う柊に、余計胸が痛む。
「私は、柊さんに守られてきました。
本当にそれは感謝しきれない…」
スカートをギュッと握るカトレアを
柊もまた、悲しそうに思えた。