LOVE and DAYS…瞬きのように

「莉子。起きなさい」
 

お母さんに肩を揺すられ、あたしは目を開けた。

一瞬、朝かと思ったけれど、時計を見ると夜の10時だった。
 

そっか。いつの間にかあたし、台所のテーブルでうたた寝してたんだ。


「ちゃんとベッドで寝なさい。風邪ひくでしょ」
 

仕事から帰ったばかりのお母さんが、腕時計を外しながら言う。


「うん」
 

ちゃんと眠りたくない。

朝が来るのが怖い。


やっと今日が終わったのに、健吾のいない明日がまた始まるのだと思うと怖い。



「莉子、最近元気ないね。もしかして失恋?」
 

お母さんがあたしの向かいに座って言った。


「莉子の顔に、失恋しましたって書いてるわよ」
 

知らなかった。お母さんが気づいていたなんて。

だってお母さんはいつも忙しくて、家にほとんどいなくて。
 

本当は心配してくれてたの? 

あたしのこと、ちゃんと見てくれていたの……?


「そんな恋、さっさと忘れちゃいなさい」


「え?」
 


体温がスッと下がった気がした。



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