LOVE and DAYS…瞬きのように
「若いうちの恋なんて、一時期の思い込みなんだから。
お母さんだって、あなたのお父さんと10代で知り合って結婚したけど、結局は別れちゃったでしょう?
莉子もきっと大人になればわかるわよ。
恋より大変なことは、世の中に山ほどあるの。
だから今は将来のためにしっかり勉強しなさい」
お母さん、何言ってるの……?
そんなの聞きたくない。
健吾との恋を、ただの思い込みだなんて言ってほしくない。
「やめてよ!」
あたしは両手でテーブルを叩き、立ち上がった。
「お母さんにはわかんないんだよ!
そりゃあ、あたしはまだ子どもで、お母さんから見れば甘ったれかもしれないけど……
でも、健吾を好きな気持ちは本物なんだから!」
止めようとするお母さんを振り切り、あたしは家を飛び出した。
親に反抗したのなんか、たぶん初めてだったと思う。
女手ひとつで育ててくれたお母さん。
ほとんど家には帰らず、自由に遊びまわるばかりのお姉ちゃん。
あの家の中で、あたしはなるべく心配をかけないよう、負担にならないよう
そればかり考えて過ごしてきた。
……“お父さん”という存在が消えた日から、ずっと。
だけど健吾のことをあんな風に言われたとき
我慢なんてどこかに吹き飛んでしまったんだ。