LOVE and DAYS…瞬きのように

それは、あたしとあいつらが初めて会った日のことだ。

健吾がDVDを返しに行ったときの、駐車場で。


ほんの数分の出来事だったけど、なんだか嫌な予感がしたからはっきり覚えている。


シンさんは話を続けた。


「あいつらは健吾の顔を覚えていたから、仕返ししてやろうと思ったらしいんだ。

……まずかったのは、そこに莉子ちゃんもいたこと。

あのとき健吾と莉子ちゃん、お互いの名前を呼んだだろ?」
 

あたしはうなずいた。



――『健吾、早く帰ろうよ』


――『莉子、ちゃんとつかまれよ』
 


そうだ……。

あいつらは確かに、この名前に反応していた。



「あいつら、ふたりの名前を知ってたんだよ。
……莉子ちゃんに恨みを持ってる人物から、話を聞いてたから」


「それが……あの人ですよね」


「うん」


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