LOVE and DAYS…瞬きのように

ページを開き、目に入ったのはパン屋さんの求人。

さっそく電話をかけてみた。


「あの……求人誌を見たんですけど」

「何歳ですか?」
 
間髪入れずに質問が返ってくる。


「15歳です」

「高校生?」

「え? ……はい」

「学生さんなら、学校から許可証をもらって面接に来てくださいね。あと、親御さんの承諾も」

「……すみません。やっぱりいいです」
 

あたしは愕然としながら電話を切った。
 

そうか……忘れていた。

15歳が働くっていうのは、こういうことなんだ。
 

だけど許可証なんかもらえるわけがない。

親の承諾? 
そんなの無理に決まってる。
 

うなだれるあたしを、足元のケンが心配そうな目で見上げている。


あたしは立ち上がり、とぼとぼと歩きだした。



「可愛いワンちゃんですね」
 

横から声をかけられたので立ち止まると

駅の近くの小さなお店から、男の人が顔を出していた。





< 330 / 580 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop