LOVE and DAYS…瞬きのように

長袖を着ているときには気付かなかった、右腕の大きなすり傷。

まだ新しそうな、赤い傷あとが痛々しい。 


健吾は「ああ」と軽い口調で言った。


「バイトで、ちょっとな」

「え……」
 

ズキッと胸が痛む。


だけど健吾は余裕の表情で


「体を使う仕事だし、このくらいは仕方ねぇよ」
 

その顔を見ていると、よけいに胸が苦しくなった。
 


あたしが優しい人たちに囲まれてバイトしている間、健吾はこんなにハードな仕事をしていたんだ。


なのに毎日、あたしに会いに来てくれて。

サヨさんが帰ってくるまで一緒にいてくれる。
 

ごめんね……健吾。
 


申し訳ない気持ちと同時に

愛しさが急激にこみ上げた。


ただの好きなんかじゃない。


愛してる……
そう思った。


< 347 / 580 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop