好きだった同級生と再会した
 本田くんがやけに嬉しそうに言う。

「久しぶりだな、いつ以来だ?」
「えっと」

 私は本を閉じて平台に戻した。

「たぶん高校卒業してからずっと会ってないかも。私、仕事が忙しくて同窓会も欠席してたし」
「そっか。じゃあ、本当に久しぶりなんだな」

 うんうんとうなずく本田くんに私は見とれてしまう。彼の声も耳心地が良かった。あの頃のままだ。

 高校生の私が記憶の奥から浮上してくる。自分の顔が赤く染まっているのを意識した。

 とくん、と胸が高鳴る。

 いや、すでに心音のリズムは狂っているか。彼が本田くんだとわかったときから私の心も乱れているのだ。

 私は彼のことが好きだった。
 
 
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