クールな彼の甘苦い罠
否定はしたものの
無意識に松木を見ていたのは事実だ
胸の辺りまである髪の毛をポニーテールし、毛先を巻いている
白い肌にくっきり二重のハッキリした顔立ち
平均的な身長に華奢な体、
可愛いというよりは美人と言うべきか
「 平石が本気なら菜桜は超応援するからね 」
って 足立は松木の席に座って言う。
恋愛で本気なんてやめた方がいい
きっと傷つくから、
“ずっと” なんてないんだ
「 本気なんてくだらない。」
「 じゃー、平石にお願いしとこ。
本気じゃないなら はるに手出さないでね? 」
俺を真っ直ぐ見る足立は真面目な表情で
俺を諭すようにそう言うから
何も返事が見つからず、俺は席を立って教室を出た。
ちょうど席に戻る松木とすれ違い
俺は 無言で通り過ぎようとしたけど
「 ねぇ 」
って 話しかけられる。
「 ごめんね 昼。余計なこと言っちゃって 」
続けてそう言う松木は申し訳なさそうな顔をしていて、
「 … あぁ 」
って そっけない態度しか取れなかった。