翡翠の森

レジーが目を丸めているのが見える。
嫌だっただろうかと不安になったが、兄は手を離さないでくれた。


「あなたが王になって、さっきのことを守って下さい」


ロイの言うように、憎まないといえば嘘になる。
けれども幸運なことに、自分には兄も大切な人もいてくれるから。


「……ああ。その為に用を済ませてくるか。お前らの予定は? 」

「あ、もし許可してもらえるなら、少し町を見て回りたいんだけど」


ロイに意見を求めると、そんなことを言い出した。


「はあっ? 」

「……身の安全は保障しないぞ」


レジーはぎょっとし、キャシディは呆れ果てている。だが、ロイはどこ吹く風だ。


「だから、大丈夫だって。みんな、いい人だったよ」

「阿呆か! 何でお前はそうなんだ! 」


一見、レジーの言い分が正しいように思えるが。
ロイは、考えなしに発言する人ではないと知っている。


「ジェイダの育ったところを見てみたいし。それに……ロドニーたちの眠るところも」


そう思い続きを待つと、そんな答えが返ってきた。


「ちっ……分かったよ。俺も行くぞ。お前らだけでうろうろしてたら、怪しすぎる」

「もちろん。レジーがいなきゃ、話にならないよ」


お墓参り。
両親を失った実感は、正直まだ薄い。
何だか億劫なような、行くのが辛いような。


(……酷い、よね)

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